仙台ゴーリークリニック2023は無事終了いたしました。

アウトプットの変化

日々進化しているアイスホッケーのゴーリー理論。僕は10年程前まで高校生から始めた趣味の一つである定期コラム(当時:ブログ)にて普段ゴーリーとして指導されたこと=習ったこと・感じたこと(インプット)を実践(プレー)して言語化(アウトプット)するという活動を大学生まで継続してきました。

プロとしてプレーし始め早くも12年が経とうとしており、アウトプットの方法も時代とともに変わってきました。プロになった当初はプロチームに入団することが最大の目標になっており、指導者など全く興味がない自分でしたが、プロに入団してからは自分自身がプレー(スキルや精神力)を今まで以上に磨きレベルアップするためには自分のプレーを客観的に分析してプレーを修正するためのスキル練習や方法を独自に考える能力=セルフコーチングが必須であると考えました。

セルフコーチングを身につける事ができたのはおそらくこれまで数多くの優秀な指導者から指導された経験やプロ選手としての活動前から指導現場でのデモンストレーターとしての経験が大きくプラスになっていると感じています。ゴーリークリニックなどの指導現場でコーチの指導方法に合わせて見本を見せる役割のデモンストレーターを様々な国内外のコーチのもとで経験させていただいた事でコーチングとは別の角度から多くの指導者の理論を学ぶ事ができたと感じています。基本的な指導理論が似たような指導者でも伝え方のアプローチやスキルの説明の言語化は人それぞれです。幸い多くの経験をさせていただいた僕はある程度の違いがあるスキル説明の言語化は聞いた時点で自分の頭で考えて合致させることができますが素人のゴーリーや経験が浅く知識が不足しているゴーリーには専門性の高い理論やスキル説明を受け取るのは一苦労です。そうした中で僕自身もデモンストレーターとしてどのような動作を見せれば学びにきてくれたゴーリーが1人でも多くコーチの理論や説明を理解してくれるのかを考えてきました。

このような活動を繰り返している中で次第に僕自身もゴーリーコーチとしての活動を本格的に行っていきたいと強く思うようになったのは今から6年ほど前でした。所属しているチームの小学生ジュニアチームゴーリーを指導する活動を始め、子ども達に合わせた指導計画やカリキュラムを独自に作成してゴーリー専門の練習会の活動を始めました。週に1度の1時間半のGKクリニックだけでは参加してくれている選手に僕が考えている理論やスキルを指導することに限界を感じました。これは僕自身の指導スキルが低いことは間違いなく弁解の余地はありませんが、それと同時に週に1度の練習会だけでは伸び代のある選手と伸び代はある選手だけど時間がかかる選手がいてどうしても時間がかかる選手がレベル的に置いていかれる現象を目の当たりにしました。集団で同じことを指導する中で個々の選手にはそれぞれの成長のペースがあり、それは決して習いに来ているゴーリーが悪いわけではありませんでした。

そこで僕が考えたのはジュニア指導で週に1時間半の練習会をより効率的にするための個々のレベルに合わせたプライベートレッスンを定期的に開催することでした。シンセティックアイスの環境を活用して当時、出会ったばかりのHOCKEY SHOP NEEDAを経営し青森県地域のアイスホッケー指導に従事する長根さんの力と熱意を借り、HOCKEY SHOP NEEDA店内にシンセティックアイスのレッスン会場を設置してもらい指導環境を提供していただきました。

プライベートレッスンなのでゴーリー1名と指導者(僕)の1対1もしくはゴーリー2名のセミレッスンのレッスン方式で指導しています。個々のゴーリーには1時間から1時間半、理論やスキルを自分たちのペースに合わせた中で指導できるため、この活動を始めてから関わっているゴーリーの能力や理解度は格段に上がったように感じています。さらにプライベートレッスンで指導している内容をジュニアのGK練習会ではそのままのニュアンスや言語で説明されるため、習いに来たゴーリー達も受け取りやすい環境になったのは間違いありませんでした。

そのような活動を始めて3年ほどが経った頃、新たな問題が起こります。それは指導しているジュニア(小学生)を卒業した中学生や高校生を継続的に指導する環境が無いことに気がつきました。これまで所属チームが実施している事業には小学生のジュニアスクール(U12)カテゴリーしか存在せず、小学生の時は高い質と練習量を確保できて育成できていた環境が中学生になって以降はゴーリーとして専門性の高いスキルを習う環境はプライベートレッスンでの環境しかありませんでした。幸い指導していたゴーリー達からも継続して指導してもらえる環境がほしいと言う声があり、シンセティックアイスでのプライベートレッスンでの指導は充実していましたが、やはり中学生以降は専門性の高い練習が必要になるため限られたスペースのプライベートレッスンだけでは限界を感じました。

では、なぜシンセティックアイスのプライベートレッスンでは限界を感じたのか?

それは指導者の立場として考えてから見えたゴーリー指導理論の新たな発見がありました。僕はゴーリーの理論を分類すると2つの要素(プレー)の中に5つの項目(スキル)が存在して構成れていると考えています。次回以降別のコラム記事で詳しく説明することを約束しますが、ゴーリーのスキル要素(プレー)は大きく分類して2つに分かれます=SOLID要素(ソリッドプレー)とREACTIVE要素(リアクティブプレー)に分類することができます。この2つの要素(プレー)の中にはSOLID要素(ソリッドプレー)には3つの項目(スキル)が存在します。さらにREACTIVE要素(リアクティブプレー)には2つの項目(スキル)が存在します。つまりソリッドプレー&リアクティブプレーを合わせると合計で5つの項目(スキル)に分類されることになります。これらのスキルを日々の練習(トレーニング)で身につけさせ、試合でプレーを実行するためにはゴーリーの指導理論として2つの環境下(状況下)で身につけさせる必要があることに気がつきました。

①個の能力としてスキルを獲得すること=クローズドスキル

②対人能力としてスキルを獲得すること=オープンスキル

これは多くのスポーツ指導理論で提唱されていますが、上記の2つの能力(環境下・状況下)でスキルを発揮できることがアイスホッケーのゴーリーには必須です。①のクローズドスキルとしてゴーリーのスキル項目を個々のタイミングで精度高くプレーできなければ当然試合ではプレーを組み立てる(コントロール)することはできません。またクローズドスキル能力を完璧に駆使できなければ、アイスホッケーの素早く動くパックの速さに的確にプレーしたりゴーリーが対戦するプレーヤーの思考やタイミングに合わせるためのオープンスキル能力を高めることができないのは言うまでもありません。

上記の説明を理解した上で話を戻すと、シンセティックアイスのプライベートレッスン環境下での指導は限られたスペースの中で個々のゴーリーのレベルに合わせたクローズドスキルの徹底した指導は行えますが、対人能力=対戦相手のタイミングや思考を予測するプレーのオープンスキルとしての練習はほぼ行えません。小学生(U12)のゴーリーを指導するにはシンセティックでのクローズドスキルとしてスキルを指導する環境は間違いなく成長に繋がりますが、中学生以上(U14-U16)のゴーリーはクローズドスキルを継続して伸ばすと同時に実際の試合や対戦相手の戦術に合わせた動作を合理的に学ばせるためには限界を感じました。

そこで所属チームのジュニア部門に別枠で中学生以上を対象にしたゴーリー練習会=GK(ゴーリー)アカデミーを設置しました。ゴーリーアカデミーはまだまだ発展させていかなければいけない活動の一つですが、まずは形としてゴーリーアカデミーがあることでジュニア(U12)を卒業したゴーリーを継続的に指導する環境を整える事ができました。実際参加してくれるゴーリーは少ないのが現状ですが、習いたい子が習う場所を無くしてしまう事が一番良くない事ですので、人数が少ない中で指導環境を整備できたのは所属チームのジュニア普及活動に対する理解が非常に高い証でもあります。

と…ざっくりですがプロになってから僕自身がゴーリーコーチを本格的に目指すきっかけになった出来事を簡単に書いてみました。ネット上の文章をコラム的に本格的に記述するのは非常に久しぶりですので読み返してみて読みづらい文章なのは承知しています。

では最後に近年の僕は何を目的としてプレーしているのか?僕は早くも33歳を迎え、来年には34歳を迎えます。おそらくですがこれまでプロとして活動してきた時間(12年)…そして幼い頃から大好きだったアイスホッケーをゴーリーとして続けられる時間はこの先、(12年より)長くはないことは言うまでもありません。

僕の現在の目的は日本国内で『世界基準のゴールテンディングの実践と指導』を行うことです。

カッコよく言っていますが、簡単に言うと『最新の合理的なゴーリー理論やゴーリースキルをプロとして実践し、尚且つ、指導もできる』ことです。つまり僕自身プレーできるし指導もできること。これが僕の最大の武器であり今一番力を入れている趣味だと思っています。

ゴーリー指導者は指導はできるけどプレーで見本を見せる事=実践(デモンストレーション)や試合でのプレーはできません。しかし僕はどちらもプロとしてできる環境にいます。僕は現在アマチュアのゴーリーに指導をして僕自身もプロとして試合でスキルや理論を実践する事ができます。おそらく世界的に見ると似たような活動をしているゴーリーは存在するかもしれません。しかし、国内では僕が知る限りプロの活動の範囲では他にいないと思います。またこの活動を現役時代(ゴーリーとしてプレーしながら)始めたゴーリー指導者は多くないと思います。不思議ですが、普段ゴーリーを指導する環境にいると今まで固定概念として考えていた理論が不思議と間違いだと気づき、柔軟にアップデート(考えを新たに変える・否定)することが多くあります。つまり自分自身の考えやプレーを見つめ直す(成長のための)きっかけになっています。

現役でプロとしてプレーする中で指導者としての勉強や体験をすることは重要な意味があると考えています。本コラムを配信しているTEAM 55oaliesを運営責任者の福島くんと立ち上げたのも、この理念があったからです。TEAM 55oaliesではドリル解説動画を定期配信(Instagramと YouTube)していますが今後もゴーリースキル系の解説は動画で行っていきます。

話が逸れましたが、プロとしてプレーする立場上の僕は『毎年上手くなり続けること』を大切にしていて同時に目標にしています。これは新しい考えを取り入れる事や自分の考えを変えてみることです。では指導者としての大切にしていることは何か?→『僕の経験を指導しないこと』です。経験だけで指導はしません。根拠や現代ホッケーの理論を考えた上で伝えるべき経験は伝えますが、一番大切にしていることは『指導理論や情報を集めること』です。これはまずは指導する対象のゴーリーを『知ること』から始めています。何が好きなのか?どんなゴーリーになりたいのか?将来の夢はなにか?それぞれ沢山の考えのゴーリーがいるので、個々のレベルに合った中で基本を指導することを大切にしています。

これらの活動を僕は以下の流れで実践しています。

ゴーリの情報を集めドリルや理論を分析する(インプット)→自分で実践してみる(第1次アウトプット)→検証と分析(フィードバックとアップデート)→指導で実践してみる(第2次アウトプット)

上記を繰り返すことで僕は結果的にプロゴーリーとしてのスキルを伸ばすことに繋がると確信していますし、この活動が指導者としてのスキルにも繋がっています。1つのインプット(情報の収集)で2つのアウトプット(発信・実践・指導)をすることで普段見えていないことが見えてくることも多くなりました。

10年前まで『言語化するアウトプット』だった部分は、現在、『指導するアウトプット』に変わりました。今後は定期的にコラムでのアウトプットも活用していこうと思います。

@55oalie – Michikazu HATA

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